2020年6月20日土曜日
コロナショック
コロナで国家と社会に投げかけられた問いは、数%の国民の病と死の受容を選ぶのか100%の経済の病と瀕死を選ぶのかという選択だ。お金よりは生命が尊いというのが大方の認識だろうから、多くの国は経済が瀕死の状態に向かおうとも接触や移動を極力抑えることで致死数を下げていった。それで国民のコロナに対する恐れは薄れるとしても生きるためには落ち込んだ経済を活かす必要があり、その匙加減をどうするか頭の痛いところだ。そこで多くの国が飛びついたのが数年前に話題となったMMTだ。モダンマネタリーセオリー、現代貨幣理論だ。きわめてシンプルに説明すると、インフレにならない限りは国債を無制限に発行できると言うものだが、今回のコロナショックで大方の国は国民の死者数を減らすために結果的に経済を犠牲にしたが、このMMTありきでの政府の行動であることは間違いない。だから躊躇もなく当然のようにストップした経済にGDPの20%を超える特別融資を行っているし、必要とあらば更なる融資を行うことに国はやぶさかではない。アメリカは無制限にという言葉まで付け加えている。リーマンショックで通貨という血液はそれでも可能な限りの水増し状態だったが、このコロナショックで通貨は水膨れ状態で、経済の血液は透き通るほどに無機質化してしまった。その行きつく先はハイパーインフレであり通貨としての価値は消え失せてしまう。MMTの大きな間違いは金融の自由化により国債は海外からも売買されていて、売買の電子化によりその頻度も安易さも数年前とは格段の差だ。よって売りが増えて金利が上がり値が下がる予兆がみられると一機に価格は下がる。インフレになったら手持ちの国債を売って通貨を回収しようにも更に高くなっていく市場金利を現状のゼロ金利に戻すには既存国債量は莫大すぎる。金融自由化は国債の価値判断を世界情勢にゆだねたことを意味している。もちろんコロナショックによる経済損失は日本だけではなく世界経済に影響を及ぼすものだが、世界的な通貨価値の損失はかつてなかったことであり未知の領域に突入している。
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