2024年5月23日木曜日

今日の想い 1295

 ニクソンショック以来、ドルは金とのリンクを止めて相場制となった。だからそれ以降は金の保有残高に関わらずいくらでも政治判断で輪転機を回せる、すなわち自由に金融緩和策を取ることができるようになった。アメリカはクリントン政権以来財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を続けているが、それでも財政破綻せずにこれたのは必要に応じてドルを水増ししてきたからだ。それがリーマンショックとコロナショックでそれ以前の遠慮しいの金融緩和とは次元を異にして、激しい急勾配グラフの通貨増発となっている。ドルは既に事実上の基軸としての信認を得ていないにも関わらず、人々は長らく続いたドルによる価値判断から足場を変えることができずにいる。金の急騰はドルに価値基準を置いているからいえることであって、逆に金を基準にすれば金の急騰ではなくドル通貨の暴落だと判断する。ここのところのインフレは生活に大きく影響を及ぼしているが、物が高いのではなく日本で言えば円が安すぎるのであって、その認識があれば銀行に預けている円預金を別の資産に変えて当然だろう。そうなると途端に銀行はバンクラン(取り付け騒ぎ)で引き出し制限をかけるわけだが、しかし未だに銀行安泰であるかのようにみえるのは特に日本人が円の価値信仰が強いからだ。もしトラがほぼトラで米政権を握るとなると、先ず外国が保有している莫大な米債という借金を恐らくに目減りさせる、すなわちドル切り下げを発動させる。そして池にクジラを泳がせているような特定の金融エリート層が独り勝ちする金融経済から、米市民に経済を取り戻す実体経済に舵を取る為にドル安政策を取るはずだ。それがトランプのいうアメリカファーストだ。そんな大ナタを振り下ろせるほどトランプは度胸があるのかどうかだが、神が後押ししているかどうかは別として、歴史上に名を残す人物と同じかそれ以上の摂理的人物であることは断言できるだろう。

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