最近公開された配信映像、脱北家族のドキュメンタリー映画を見た。家族五人で脱北を試み、鴨緑江の源である百頭山を超え、韓国で脱北援助している牧師によって中国青島、ベトナムと経由し、ラオスの密林を超えてメコン川を渡り、最後に民主国タイの警察に補導されるという長い過酷な路程を経て最終的に韓国に亡命する。その脱北家族と並行して、既に脱北している女性がその息子を脱北させる為にブローカーを通して連れてくるという伏線を追っているのだが、その息子は中途で捕まり拷問の末、死と隣り合わせの収容所送りになってしまう。感想として先ず民主主義国家では想像もできない、食べ物もままならない過酷な人生を送る人々が、飽食で莫大な廃棄処分をしている社会と隣り合わせで存在しているという現実。同じ地上に生まれながらこれほどの差は一体何の因縁によるものかという疑問。全ての人々が幸せな生活を送ることを願う神だろうに、これほどの差が存在している現実を突き付けられると私の親なる神の概念すら危うくなってしまう。果たして因縁と蕩減でこの現実を説明できるものなのだろうかと思う。過酷な中で生き、或いは死に、その壮絶な人生から彼等は何を受け取るのだろうか。そんな中でも、或いはそんな中だからこそ神に出会えることがあるのだろうか。この映像を見て、私は生きるに良いくじを引いたという認識だけで霊界に赴くなら、大変なしっぺ返しを受けかねないと思っている。いつも記しているように、この世とあの世が逆説であるなら、国そのものが収容所と化した中で魂の歩みをする彼等が、霊的に受け取る霊的自由の本質に比べれば、平安な社会で信仰による霊的自由など絵に描いた餅に過ぎないだろう。脱北した家族五人の安らかな笑顔より、北韓の息子を呼び寄せる計画を立てながら失敗し、息子を更なる絶望的境遇に結果として陥れてしまった母親の涙と苦悩が強烈な印象として私の胸に残った。このドキュメンタリー映像の作者は、視聴者が受け取らざるを得ない天国と地獄を敢えて意図してのことだったのだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿