2023年1月17日火曜日

今日の想い 1220

 阿部黒田体制による10年にも及ぶ膨大な緩和政策により、日銀の国債保有残高は500兆円を優に超えている。国の国債発行残は1000兆円を超え、借金残は優に1500兆円に届く勢いだ。日本は余りにもデフレ期間が長く続き過ぎた。経済成長時のインフレ状態がどんなものかもわからないし、また不況時のインフレ脅威も知らずにいる。しかし世界は、EU諸国も、資源国であるはずのアメリカもインフレの嵐で、インフレに歯止めを効かせようと金融引き締めに躍起になっている。昨年は物価高と言われてもそれでも抑えられていたが、今年に入って日本も軒並み値上げのニュースで幕を開け、横並びで抑えていた物価を横並びで一斉に上乗せしていく。既にユーティリティは30%以上の値上げが実行されている。しかしこの期に及んでもまだ財政支出が足りないと言い張るMMT論者が少なからずいて、円の価値を紙切れにまで落とす政策であるにも関わらず、それでも声高にばら撒けばら撒けと叫んでいる。日銀は通貨発行権を持っていてどれほど発行しようが誰も文句を言わない、というのが彼等の言い分だが、権威をひけらかして思惑通りにいくと思っている時点で思考の甘さを露呈させている。確かに通貨発行権はある。しかし発行すればそれだけ通貨の価値は薄まる。もし既発行の国債を帳消ししようものなら、円の価値は急降下しそれこそ紙切れになるまで売られ続ける。またある経済評論家は国民の通貨保有(日本人の貯蓄)が1200兆円もあるので、国家全体としては差し引き0だという意見もあるが、それは国民が何の文句も言わずに貯蓄を国に差し出す前提の話だ。国がいつでも個人財産を没収できるならそれは民主国家とは到底言えない。他国の中銀に比べて日銀は金利を暫く上げなかったが、それは既発行の国債が多すぎて金利を数%も上げれば国の利払いが大きくなりすぎる為だ。日銀は500兆円もの国債を抱えて既に詰んでいる。インフレ対策の為の利上げすら手を付けられない。さあこの2023年と2024年がどうなるか。昨年以上の混乱が起こることは必至だが、どんな高名な経済学者の予測も適当で、本当はとても予測など立てられる状況にない。

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