2015年2月21日土曜日

花の精に会いたい

私は花を知らない。花が光を受け止める生殖器であることは知っているけれども、光が花を通過して受胎する精霊達を私は知らない。それぞれの花にそれぞれの花言葉があるように、様々な花の色や形に化身している精霊達が宿っている。私が孤独なのは誰も私の事情をわかってくれないからではなくて、ましてや神様からも見放された愛の減少感でもなくて、私のこの同じ想いを共有する花に宿った精霊が存在するにも拘わらず、私はその花の存在を知らないからだ。その花を知っていれば私は孤独を覚えない。愛の減少感が罪の根源ではないように、この感情そのものが悪でもなければ堕落性でもない。けれども、この感情のやり場を見つけない限りは、恨みとなって悪魔に届けられてしまうだろう。私は花を知りたい。私のこの想いを共有してくれる、この世界のどこかにひっそりと佇む花を知りたい。その花の精に私のこの同じ想いを見届けたい。そうして慰めてあげたい。それで私の想いは解放されるはずだ。私の知っている数少ない花たちの中に、この想いを宿している花の精を知っている花はいるだろうか。心寄せる春の花たちはどうだろうか。命の短い桜の花は知る由もないだろうか。冬の死を前に咲く秋の花たちはどうだろうか。だいたい私のこの想いは、どう言葉で表現したらいいのかさえわからない。言葉が見つからなければ祈ることもできないし、想いを念ずるにも言葉として表現しなければ届けることは出来ないだろう。罪が深すぎて、この想いが神様に届かないと言われれば諦めがつくけれども、せめて色形を供えた花の精が、地上で同じ感性の次元に存在しているにも拘わらず、それでも私はその花を知らない。世界のどこかに存在しているその花を知らない。花の精が私を訪ねてくれるのを待つのではなく、私がその花を見出して、その花の精に私のこの想いを見届けたい。そうして、私から慰めてあげたい。花の精に会いたい。

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