ドル円が130を超えてきた。生まれてからこの方ずっと日本にいるのであれば、FXで相場を貼っていない限り、通貨レートは只の数値としてそこに感覚を覚えないのかも知れない。しかし海外生活もそれなりに長く、日本永住帰国を決意しそれなりのまとまったお金を移した者としては、締め付けられたり、痛かったりの感覚を通貨の数値に覚えてしまう。二年前の当時と比べてドル円で20円も差額が出ると、百万円単位で目減りしてしまう。勿論借金大国日本が大幅な通貨安になることはわかってはいたが、これほど直近のことになるとは思っていなかった。日本にいるとそんな自分の感覚が奇異に映るほど周りは茹でガエル状態で、こんな心配は他人事だ。1996年、橋本内閣で金融ビッグバンと言われる金融システム改革法(金融の自由化)が実施された。日本人にとって最も身近なことは、これによってマネーの外貨交換自由化が為されたことだ。しかし円高ドル安状態だったので特に何をせずとも円建て資産は増えていったことで、為替相場自由化の意味合いを受け取れずにいた。おそらくその当時、逆に円安ドル高状況だったら国民の金融リタラシーは上がっていたと思う。世界一の借金大国になってしまった今、円安は更なる段階に踏み込んでいくのは明らかだ。資産を円のままにしておけば、資産の目減りは顕著になってくる。それはインフレ加速によってそうなる。敗戦による日本人の自我の開放自由化もそうだが、自由の意味がわからないと国家体制や政府に対する社会的な甘えがあって、自由が逆に人生や生活への足枷になってしまう。金融自由化も同じで、基本的に能動的な関わりを持たないと自由の空間へは飛べない。日本は国の借金をここまで許してしまったことは、金融自由化されながら、あいも変わらず円を崇拝し政府や日銀に任せっきりだったということだ。今回の資源インフレから始まる最高インフレは、日本人にとって相当の痛みを伴う学習になるだろう。
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