2018年8月8日水曜日

今日の想い 991(ドルと元)

米中間の貿易戦争が激しさを増している。単純に考えればアメリカから中国への輸入量に比べ、中国からアメリカへの輸入量が圧倒的に多いので、中国がどれだけ後追いで関税をかけても中国の負けは当然だ。しかし中国も馬鹿ではないのでアメリカが関税で仕掛けることは随分前からわかっていた。中国が次に打つ一手はアメリカ債権の売りだろう。要するにドルを売って元を買えばドルは下落するのであり、中国が保有しているドル債の売りは、ドルを下落させてドル基軸を揺らすに十分だ。トランプは未だに貿易赤字云々しか頭にないようだがドルが安ければ貿易黒字になって富を得る、というような単純なものではなく、ドルが高いからこそドルが基軸通貨として世界に通じるのであり、高いドル債権を中国も日本も産油国も莫大に買っている。要するに貿易赤字を十分に埋めて余りあるアメリカの金融商品が売れている。未だに気付かないのか、気付いていても関税だと声高に喧嘩を仕掛けるのか、中国がドル債の売りを仕掛けた時の次のトランプの一手が見えないので何とも言えない。確かにトランプはトランプで次の一手は確かにある。それはドルの紙切れ化指示だ。ドル債は今のドル通貨によるものだから、もしトランプがドルをやめてこれから新しい通貨を用いることを決めさえすればドルは紙切れになる。そこまで行かなくても新ドルを発行し、旧ドルと新ドルの交換比を2対1にすれば海外のドル債は半分になってしまう。もちろんその時点で基軸通貨として世界が認証するかどうかは極めて疑わしいが、アメリカ自体はいいとこどりで生き延びることができる。それでも中国はそこまでも見越している。賢いというのか狡賢いというのか、中国を甘く見たらとんだ目に合う。中国元は日本円やアメリカドルのようなハードカレンシーではない。元は世界に通じてはいない。中国は他国との貿易にドルを用いているのであり、元はドルに換算されて(変えられて)取引を行っている。アメリカが覇権国であるのはドルが基軸通貨であることによるが、そのように中国が覇権国として台頭するためには元が基軸通貨に並ぶハードカレンシーになる必要がある。その悲願を成就するためにひたすら準備してきたのが金の産出、金の購入、そして金の国外流出禁止だ。今もっとも金を保有しているのは中国だ。今はドル保有を担保に元の発行が為されているが、中国は時を見て金保有を担保に元を発行するようになる。中国がドル債を売り浴びせて一気にドル下落を見た時か、あるいは旧ドルをやめて新ドルを発行するときか、その時が金兌換の中国元のXday だ。強いドルは強大な戦力が背景にあるのはその通りだが、果たして中国はアメリカとどう交渉するのか。習近平がトランプに耳打ちしたように、太平洋で線を引いて一方をアメリカ、一方を中国にしようと更に踏み込んで話を持ち掛けるのか。しかし日本はアメリカに言われるがまま、中国に押されるがまま、何の準備もしていない。

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