日本は今30年前に逆戻りしている。基軸通貨ドルに対して150円近い円安とはそういうことだ。世界は今、経済史を見る限り歴史を遡っている。コロナ危機による莫大な通貨補填が、金融歴史の最後の打ち上げ花火としてばら撒かれたのち、来た道を引き返すかのように金利を上げマネーを回収し、金融と経済の引き締め縮小に向かっている。コロナによるマネー増刷とウクライナ戦争による資源飼料不足で、少々の金融引き締めでは世界的インフレは収まらない。資源高も物価高も度を越えていて、西欧ではこの冬を超せるかどうかという声さえ聞こえてくる。来月には米中間選挙があるので今のところ株も債権もコモディティも全下げの中、それでも躊躇下げでの様子見だが、ウクライナ戦争の出口への動き、金融引き締めの出口への動きが選挙後にあるのかどうなのかが焦点になっている。それを踏まえてロシアが経済覇権を握るべくどう動くのか、中国はどうか、戦時ではあってもそれぞれの手口を探りながら息を潜めている。戦略核使用の危険度は今最大に増しているし、台中戦争の勃発危機も同じように増している。すべては経済の覇権を握るために動いているのであり、ドル覇権からの金コモディティリンクによるロシアルーブル覇権、一帯一路構想による中国元覇権がしのぎを削っている。台湾の半導体技術や尖閣諸島を含めての領域に埋蔵する油田や資源も喉から手が出るほどに欲しているのが中国だ。東西の経済覇権の地図が塗り替えられるようになるとドルリンク通貨がハイパーインフレとなり一気に紙屑化される危険が生じる。石油産出国は既にアメリカの言うことを聞かないのであって、石油産出国家をアメリカが主管してのペトロドル覇権であれば、今のドル高が砂上の楼閣であることは見えている。アメリカ追随の日本は、日本経済を犠牲にしてでも円安を維持して、世界最大の債務国のドル債権をキープし更に買い足しながらドル基軸を支えている。しかし既に砂上の楼閣であるドル基軸をいつまで支え続けることができるだろうか。経済史が遡るとなると、いつか来た道を逆に拾っていくことになる。そうなるとアメリカの次なる大きな動きはドルの暴落か暴落を予知して打つ為替介入による極端なドル安か、要するに行きのプラザ合意からの戻りのプラザ合意2だ。
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