2022年11月28日月曜日

今日の想い 1208

降ろされたのは大きな町の外れだった。車が過ぎ去るのを確認し周囲を見渡しはしたが、最初からやる気はなくて、とにかくこの寒さを何とかしたかった。取り敢えず暖を取ろうと、飛び込みはそれからだと言い訳しながら、切り取られて渡された地図にある駅を目指して足を進めた。献身依頼3年を超えて万物復帰続きだった。さすがに疲れていた。もう自分にとって実績を出すことも、言われたとおりに真面目に飛び込むこともどうでも良かった。別に実績がないと祝福に与れない訳ではない。ある期間内に離れずにその場にいることが重要であって、歩むことの忍耐ではなく待つことの忍耐の方を自らに課した。もちろん伝道対象者としての霊の子は必要とされたが、万物復帰の期間に伝道できる訳ではない。だから私にとって何ら重要性は感じなかった。敢えていえば、やめてしまえとしきりに私という存在を否定するキャプテンの仕打ちを受け止める、そのことが祝福の為の条件だとさえ思った。そのキャプテンは大した結果を残さずに帰ってくる私に対して肉体的なものも含めて虐待三昧だった。結果を出さずに帰れば、今日も奴隷主の仕置きが待っている。次第に賑やかになる駅までの道のりを歩きながら、もはやこの道を今引き返さなければ、日が高くなっても決意して飛び込むほどの力のないことは薄々感じていた。それでも駅に向かう足は止まらなかった。飛び込みが死ぬほど嫌だった。本当に死ぬ方が楽だと思った。駅に着くと取り敢えずトイレに駆け込んでしゃがんだまま暖を取った。そのまま眠るともなく浅い眠りをしばらく取ると、既に午後3時をとっくにまわっていた。ありったけの小銭を搔き集めラーメンを食べた。そのままガラス戸越しの人の流れを意識もなく眺め続けた。そうしながらすでに現地まで帰って歩む決意もできないし、しかし実績のないまま回収されることもできなかった。しっかり回収時間を超えて夜の更けるのを待って、駅から少し離れた荒地の駐車場に赴いた。一台一台確認しながら鍵のかかっていない車をひとつ見つけると、その車の後部座席で一晩を過ごした。風は防げるものの冷え切った車内は想像以上に寒く、ひもじくて震えが止まらなくて涙が流れた。その涙だけは妙に暖かいのが切なくて、更に泣けてきた。どういう訳か私の記憶はそこまでだ。朝までそのまま休んだのか、どう連絡入れたのか、さっぱり覚えていない。おそらくそのままブロック本部に上げられて、暫く内務の手伝いをしたのだと思う。でも見切りをつけて帰郷したのは随分後のことであって、その時の話ではない。自己否定どころか人間としての自我さえも否定しなければこの道を歩めなかった。そこまでして勝ち取った祝福であり、たとえ教会が否定されたとしても誰が祝福の価値を地に堕とすとしても、私の祝福は天が認めるし必ずやその証を地に立てて見せる。普通なら自分など教会被害者の部類で青春を返せと叫ぶべきなのだろうか。被害的で悲惨であればあるほど、より祝福を重要視したし信仰を捨てるどころか益々強く持つようになったのは、内的霊的な価値が地上からみれば逆説的だからだ。

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