2008年3月22日土曜日

借金帳消し令

アメリカは金銭に対する感覚が麻痺して久しい。自分の働きに対する報奨対価として給与を受け取りそれに合わせて消費していくというのが健康的感覚である。要するに手元にあるもの以上は使えない。しかしやがて大きな買い物(家とか車とか)欲求に応える為に先々の収入予測を担保にして借金することを学ぶ。長期ローンを組めばその利子を含めると資産の二倍に借金が膨らむにも関わらずそれを返し続ける負債感覚はない。その感覚の喪失の大きな原因は商取引が現金授受に拠る必要がなくなったためにある。一桁二桁の小銭であろうが一生の収入に匹敵する九桁十桁の財産であろうが受け取るのも紙一枚であり払うのも紙一枚だと、そこに丸がいくら列挙されていてもその実感はない。電子取引だとその授受に人を介さない分、更に価値に対する感覚は麻痺してくる。子や孫の代まで払い続けないと返済できない金額を殆どの世帯が借金している。時が経てば資産は幾らでも膨らんでいくからというローン会社の宣伝に意図も簡単に騙され、軽いショッピングの感覚で契約書にサインする。ローン会社にしても貸す相手の信用度がどうかなど、手続きの上だけでのことでさして深い審査などしない。滞納すれば取り上げて他の者に売れば物件の資産価値が上向いている以上は問題ない。いくらでも転売できる。組んだローンも債権として幾らでも買ってくれるところがあるので資金も湯水のように入ってくる。バブル景気とはそういうものだ。金銭感覚を麻痺させる。借金することに何の引け目も感じない。借りないほうが損だとまで言い始める。とにかくバブルは弾けた。浮かれ呆けたまつりは終わった。羽目を外し過ぎた付けは大きすぎる。消費という酒を喰らい過ぎて金銭感覚が麻痺し、酔いがやっと醒めて残るのは莫大な借金。アメリカ経済が立ち直るためには唯一バブル前の資産価値分以上は債務カットすること、それ以外方法はない。しかしこれはめちゃくちゃな話でできるわけがない。だからアメリカ経済は崩壊するしかない。

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