2008年11月13日木曜日

今日の想い 25

何処までも青い空が天を覆い、澄み切った大気に遠くのほうまで輪郭がはっきりと見て取れた。そんな昨日までが嘘のように、今朝はどんよりした雲が沈んでいる。木々はその覆いの殆どを剥ぎ取られ、味気の無い骨組みを曝している。傷口に塩がかかるように、冷たい霧雨が降りかかる様が痛々しい。11月も半ばに入る。まだ冬到来には間があるとしても、明らかにその覚悟は迫られている。感謝祭にクリスマス。いつもの年なら、ホリデーシーズンに向けてその高揚感が高まる頃だが、そんな気配は微塵も無い。皆が皆、頭を垂れて歩いている。重い足取りに口数は少ない。過去五年以上に渡って資産は膨らんできた。パソコンを叩けば見えてくる、幾らでも膨らんでいく資産を見ながら、自分自身が大きくなっていくように思えた。数字に酔いながら自分の拠りどころを仮想空間に落とし込んだ。たとえ自由になる数字の桁数が増えたとしても、実際数年前なら手にした事もない高額商品をこの手に入れたとしても、喜びは手に入れるまでだ。手に入れたと同時に憑き物が去るように高揚していた感情は逃げていく。そんなはずは無いと次の獲物にかかる。そんな事を繰り返している内に打ち出の小槌は霧散した。一度身体に馴染ませた安楽な生活を、基に戻すには莫大な精神的エネルギーが要求される。食べなければ死ぬものを、死ぬと解っていて食べる事ができない。誰かに食べさせてもらっていたからだ。自分で手を差し伸べ口に入れる労働より、食べない選択を始める。生きることそれ自体が労働だ。生きることの意味が解っていない限り敢えて生きる労働は選ばない。今その入り口にアメリカはいる。酔いが醒めて又酒を求めている。少し途切れただけで又今までのように酔える酒を待っている。アメリカは個人としても国としても生きる意味を悟り、生きる活力を生み出す必要がある。でないなら、アメリカは終わる。その日の食い扶持にも事欠く状況が門口に来ている。

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