2023年5月7日日曜日

今日の想い 1240

 ワシントンからルート95を北上してニューヨークを目指すと、NJターンパイクに入る手前に巨大な鉄骨のデラウェアメモリアルブリッジがある。車を走らせて湖のようなデラウェア川を中ほどまで横断するにつれ、横風は一層強くなる。風に車体が持っていかれないよう、ハンドルに力を込めながらも坂を上りきると、視界は一変に開放され眼前に地平線が広がる。アメリカの広大さを実感する瞬間だ。卸に勤めていた頃は、毎週のようにブルックリンまで魚の買い出しに出向いていた。レストランに移ってからも本部参りで年に数回ニューヨーク間を往復していた。このブリッジがちょうど中間位置にあって、だいたいそこまで二時間半かかるが、ブリッジを超えて残り半分の運転に気合を入れなおす。景色は実際感動的でもあるが、強風に対処し化学工場からの臭いもあって、実は通過し景色を思い起こしてすばらしかったと思う二次的感動だ。ブリッジを降りてターンパイクに入る手前で40号線の入り口があり、東への経路を辿っていくとアトランティックシティーに着く。ベトナム人の従業員と二人で、運転を変わりながら買い出しに行っていたが、アトランティックシティーに寄ってから行こうと何度もねだられた。人は良いがギャンブル好きで、寄ったら数時間は取られることはわかりきっているので、その40号線入り口あたりの運転は私がした。トラックで横風の強いブリッジを超えるのは緊張するし疲れもしたが、そんな理由でハンドルを握らざるを得なかった。鉄骨で何の風情もない無骨な橋だったが、何度も通過するうちにいろんな思い出と相まって親近感を覚える。ある時復路で夕暮れ時に差し掛かると、空一面の紅で覆われ、まさか霊界かと疑うほど息を飲んだ記憶もある。ちなみにその従業員は女好きで、着いたら着いたで夜のキャナルストリート(中華街)あたりで夕食を取ろうと私を誘い出し、怪しい店に連れ込まれそうにもなった。

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