2007年7月24日火曜日
ホームランド (2)
原爆といえば放射能を浴びることによる被害が大きく知らされるが、このとてつもない威力の爆弾が炸裂することによる爆風と熱線による被害をまず直視しなければならない。放射能による被害も後々尾を引く大変なものであるが、この爆風と熱線が一瞬にして地獄絵図を現世に現した。熱線を直接受けた者は皮膚が焼き尽くされ溶けた皮膚が垂れて臓器がむき出しになる。強烈な爆発による風圧で瞬間的に気圧がさがり眼球や内臓が飛び出す。爆心地から数キロ圏内では焼け焦げた死体で埋め尽くされた。焼け焦げた身体を癒そうと飛び込んだ黒い死体が累々と本川を流れていく。垂れ落ちる皮膚を纏い、腕を下げると指先に激痛が走るので腕を胸のあたりまでもたげながら水を求め彷徨う姿は幽霊そのもの。爆心地から幾らか距離を置いて直接的被害から逃れたものには放射能の被害が数日を置いて襲いかかる。頭髪の脱毛が放射能を受けた合図となり歯茎からの出血、身体には紫色の皮下出血斑、顔にはヒルでも皮膚の下で這っているかのような赤紫の斑点で被い尽くされる。喉の痛みで物を飲み下せなくなるとともに歯茎からの出血が止まらず死に至る。この生き地獄を目にしたものはこれほどまでに人間は残酷になれるのかと思ったに違いない。この有様をどう捉えどう説明することで魂は癒されるのだろう。夜な夜な川面のほうから助けを求めに来ていた夥しい亡霊。癒しの言葉をどうやって見出せばいいのか。日本民族としての連帯罪の清算。おそらくそうだろう。しかしそれで納得することはありえない。地上天上に御国が為されて神様自身が彼らの身に味わった以上の辛苦を舐めてこられたことを理解したとき、初めて浄霊を受けるのかもしれない。摂理に加担するものとして救いを求める多くの魂の重みを感じるものでありたい。
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