2013年2月24日日曜日

今日の想い 534

霧雨の朝だ。アパートの裏戸を開いて外気に割り込むと、霧雨が顔を撫で、カバンを持つ手を優しく撫でていく。地面は沁みて柔らかく、骨々しい木々も潤いを含んでいる。もうすでに春の使者がやってきて冬と交渉を始めている。交渉次第では随分と早くに冬は春に席を譲るだろう。この地方に取って、この冬は今までになく力なかった。例年はかなりの積雪が時折あって、身動き取れずに、家の中に蹲って何度か過ごしたものだ。しかし今回はちらつくばかりで、一、二度地面を白くは覆ったものの、昼の日差しに縮んで消えた。冬とは言えない冬だった。御父様が秋口に聖和されて、実りの季節に聖和式が行われ、そして春への交代を前に基元節である天一国元年が宣布された。実体的な天一国の出発だ。私が何を感じ何を思おうとも、この事実は明白で否定のしようがない。何らかの、目に見える外的変化を期待していた私だった。それ故に家族にも内的変化を期待していた。しかしその現実はというと、会場のスクリーンに映しだされた映像を見ながら、この重要な時でさえも、隣の妻の疲れ果てた姿に溜息が洩れ、無理に連れて行った娘の態度に辟易している私がいた。私の家庭だけが取り残され、基元節を越えて皆と同じに光の中へは入って行けないように思えて、ただただ焦っていた。せめてもの期待も裏切られる現実が、私の基元節だった。ものの見事に突き放された。そして私はずっと放心状態で、泣き喚きたくても涙も出ず、整理して再出発しなければならないのに内面を閉ざしたままの時間だけが流れている。以前と同じ生活だけがそのまま続いていることが恨めしい。木々はこの朝の霧雨に濡れ、湿りが潤いを含ませようとも、それでも頑なに骨々しいままの状態を変えはしない。しかし木々本人は知らずとも、ほんの数週間先には芽吹き始め緑を装い始める。私は私自身にもう少し待てと釘を刺す。焦って闇雲に内面を混乱させないよう落ち着かせる。そして御父様への祈りもまた同じだ。もう少し待って下さい、、。ただそれだけを唱えている。今それだけを繰り返している。骨々しくて寒々しい、何も見えなくて虚しい、そんな今の状態であっても、芽吹き始めるその瞬間は絶対に見逃さない。

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