2007年3月8日木曜日

チップに対する考察

アメリカはチップの慣習がある。レストランもこのチップ故に成り立っている。しかしこれがたいそうなくせものだ。入国した当時はこれに馴染めず支払いのときいくらおいて置けばいいのか悩んだ。その当時は15%くらいが相場だと言われそれならその額分最初から請求すればいいものを何故、と言う思いがあった。店をマネージする立場にある今でもこのチップは頭を悩ませる。レストランでは給仕に対する評価という位置付けにあるが、余程の事がない限りは請求額に応じて換算され評価としての意味はあまりない。サーバーもその頭があるから支払いに対する%で一喜一憂しその客が良いか悪いかの判断をする。自分のサービスに対する評価とは思わない為内省することは先ずない。店側からすればチップ額に関係なく、客は売り上げに貢献する客である。この客はチップが低いと言ってサービスを疎かにされれば店としては困る。大盤振る舞いの客だけで営業できるはずはない。少々チップは低かろうが週に何度も足を運んでくれる客の方が店としては有難いし、チップの絶対量も実はこの客のほうが多かったりする。そこに目をやらず勝手に判断して対応を疎かにするから、結局入ろうとするものを拒む体制になってしまう。チップ制で店とサーバーの関係性も微妙なものとなる。チップのほうに意識はいくから店から収入を得ているというより客の頭数から収入を得ていると言う感覚が強い。俄然、店に対する忠誠心は薄くなる。店の為にという意識の欠如が店にとっては大きな痛手となる。寺や宮の参道軒下を拝借するテキヤ稼業と同じで参拝客を増やそうという殊勝な心がけの者はまずいない。客の入りを見て取ってたかるだけの存在である。レストランとして看板を掲げている以上サービスに重点を置かざるを得ないがそのサービス分野をこの連中が握っている。本当のところ、チップは全部店の収入として預かり他の従業員と同じく給与制にしたいのだが、他の大多数のレストランがチップ制にしている以上マネージメント側で孤軍奮闘しようがサーバーはついてこない。よほどいいサーバーを抱えているかサーバーがマネージャーなりオーナー本人であると言う店以外はこの課題はレストラン業にとって本質的課題だ。サーバーが然りなら客も然りで、チップを渡すとき恵んでやるという上から目線の意識が見え隠れする。サーバーや店に対して私と言う客にかしずけと言うあからさまな態度はチップ制ゆえの功罪だと私は思う。

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