2007年3月21日水曜日

情報と情熱

数年前、東北地方を大きな台風が襲い農家に多大な被害を与えた。その時りんご農家の大半が落ちてしまった九割のりんごを見てため息をついた。しかしたった一人の農家のひとが木に残った一割のりんごに着目し、落ちないりんごという名前で受験生をターゲットに一個千円で売ることを思いついた。普通一個百円程度のりんごが十倍の値段で売れ被害を最小限に止める事が出来た。、、、、という話は今置かれている状況をどう認識するかといういい教訓だ。現実は現実として受け止める必要がある。しかしその現実をどう捉えるかという判断はひとりひとりに任されている。忘れてならないのはこの農家は被害の多大さの現実を嘆いてこのアイデアが出たわけではない。アイデアが出る前の段階で一割の残ったりんごへの愛着と感謝の思いがあったはずだ。この残ったいとおしいりんごをどうしようかというところからこの発想は出てくる。あるものに感謝する捉え方とないものを嘆く捉え方は一歩先の運命を変えていく。しかし断っておくことはポジティブにポジティブに生きろと言うことではない。では他の農家は馬鹿を見たということだろうか?そうは思わない。嘆くことや痛みを感じることで他の災害に逢った方々の気持ちがわかったかも知れない。明日の知れない人生の意味を考えようとしたかもしれない。要するに置かれた状況をどう捉えるか、で明日は変わったものとなっていく。要するに自分が明日の自分を舵取りしているということ。先月の日曜日朝から雪が降り出して昼過ぎには結構な積雪となった。従業員が店に行く支度をするころにも雪はまだ降り止まない。結局店を閉めることを決めた。しかしこれは私にとって大きな失敗だった。この決定の背後に経費削減の思いしかなく来てくれる客に対しての思いがなかったことだ。この雪でも来てくれる客の為に自分ひとりでも営業するという思いになぜならなかったのか、反省した。企業にしろ団体にしろその責任者の理念哲学が基礎となり柱となる。雪が降って客が数人しかいない状況を見て、やっぱり閉めるべきだったと嘆くのか雪なのに数人も来てくれたとその客に感謝のおもいを持つのかで明日の営業状態、客の反応が全く違ってくる。経営者としての熱意を維持させるために最も必要なのはあるものに対する感謝の気持ち。一店舗の繁盛店をつくるのに難しいビジネススキルは必要ない。お客様を愛する気持ちとあるものに感謝する気持ちがあれば入ってくるなといっても客は入ってくるようになる。立地の問題とか店の流行の事とか数字の煮詰め方とか確かに研究すべきことはたくさんあるが万端整えても必ず成功するとは言えない。情報は十分条件であり情熱は必要条件だ。

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