2009年11月24日火曜日

新メイフラワー号

暗い、底知れぬ海が見渡す限り広がっていた。その海の底にうごめく物のひとつでしかなかった私は、自分の在り処だったこの暗い海の正体すら知らず、生きることだけで精一杯だった。周りにうごめく者らの、睨みを利かせた視線に曝されながら、あらゆる仕打ちを携えて近寄ってくる恐怖におののきながら、打ちひしがれた魂を暗い海に沈めていた。一生をそうやって終えるのだろうと信じて疑わなかった。その自分が今、高みから暗い海を見渡す立場にいる。み言を受け取ることが、魂の船で新たな旅立ちをすることだとは知らなかった。その自分が、この魂の箱舟の中で御父母様や食口達と起臥を共にすると言う現実を体験している。広漠たる打ち沈んだ海面を、その現代の箱舟は進んでいく。船底の下にはありとあらゆる魑魅魍魎が喧騒の中で罵りあい、船のいたるところの板底を小突き上げてくる。絶対信仰、絶対愛、絶対服従こそが、この堕落世界の海を隔てる箱舟の板塀なのだ。信仰が弱まれば、隔てるものは薄くなり、堕落的な海水がいくらでも浸水してくる。ひたすら箱舟の船長である御父様に指示を仰ぎ、目指す新しい天と新しい義に舳先を合わせて進んでいく。確かに箱舟自体も老朽化して、底となり壁となる食口も組織も傷みがかなり激しくなっている。しかし目指すところは残す三年の歳月の先にある。三年の歳月を乗り越える為、最後のラストスパートの半鐘が鳴り響いている。御父様が堕落世界の深海の奥まで尋ねながら、集めてこられたひとりひとりの食口と言う乗組員は、浸水による疲れや傷みを引き摺りながらも最後の信仰を振り絞って従って行く。我々は天宙的ピューリタンとしての誇りと使命を担っている。この最後のラストスパートを泳ぎきる為に今までの歩み全てはあったのだ。肉が裂け、骨が折れたとしてもこの一戦に全てを賭ける。神が約束を果たしてメイフラワー号が新天地に到着したように、この箱舟も新しい天と新しい義に辿り着く。この世では明日にも感謝祭を迎えるけれど、我々の本当の感謝祭は摂理完遂をこえた時だ。ピューリタンの精神を統一の群れこそが担い、後天開闢の時代を切り開いていく。

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