2013年6月6日木曜日
今日の想い 573
今日一日の魂たちの喜怒哀楽を、闇の深みに吸い込みながら、夜は闇を更に濃くしていく。人間が魂の存在として、滲み出させ、染み出させた喜怒哀楽という魂の分泌物を、深い闇は舐めていく。舐めて啜り込む魂の味わいが、甘くあっても辛くても、旨味でも苦味であっても、闇は選ぶことなく味わい尽くして飲み込んでいく。喜怒哀楽という分泌物を、発散を、あるいは爆発的放出を、静まり返った就寝の間に、或いは眠れぬ長い夜の間に、闇の舌で嘗め尽くされる。闇の、舌舐めずりの音がする。背中の辺りを舐められて、闇の舌のザラザラした感触を覚える。優しく撫でられるようでもあり、悪寒を感じてぞくぞくするようでもある。闇の深みに吸収された魂の味わいが、朝になると、どう言う訳か私の深みから全く別の味わいとして湧き出てくる。闇の深みと私の深みは意識の届かない部分で繋がっているらしい。闇が味わい消化したものが夜となって朝となり、魂の根底に注がれるものとして届けられる。私が喜び過ぎると、夜を越えてどこか空しさとして残される。激しい怒りが夜を越えると、どこまでも奈落の底に墜ち込んでいく気分になる。身を絞られるような哀しみが夜を越えると、ひとしきり降りしきった後の空のように、欲を持たない軽やかで浮かぶような胸の内になる。闇がどんな魂の味わいも拒否しないように、私は朝に与えられるものを拒否しない。闇がどう消化し、消化して夜が朝に用意するものが何であっても、受け取って楽しむ器を私は備えている。夜を越えて朝を迎えた私は、きのうとは異なる新しい私だ。私が新しければ相手だって新しい。今日には今日の関係性が備えられる。
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