2012年9月4日火曜日

今日の想い 450

お祈りしないとと思い、夜中十二時を超えて、DCの教会へ向かった。家の外に出ると、生温かい大気が包み、気まぐれの雨が時折顔に落ちてくる。高速から下りてDCの街中に入っても、一向に生気を帯びた景色には出会えない。対向車のヘッドライトも、真っ直ぐに列を作る信号の明かりも、ショップから漏れる光も、光でありながら暗い印象を与えるものでしかない。街ゆく人は皆うつむいて歩いている。教会に着いたが裏の駐車場へは門が閉ざされていて入れそうもない。周辺を二、三度回りながら、やっと停められるスペースを見つけて入り込んだ。暗い裏道を回り込んで、教会の裏門に着く。鍵がかかっているようなので電話した。暫く待つと鍵を持った姉妹が現れた。軽く挨拶して礼拝堂に向かった。誰もいなかった。御父様の大きな御写真と御父母様御二人の御写真が前方に配置されていて、数列の椅子が並べられていた。いつも所狭しと身を寄せている兄弟達の肩越しに見ていた御父様なのに、固まった笑顔で動かない御父様を前にした今、周りには誰もいない。方々で音がするので誰かが作業でもしているのかと思ったが、あちこちにいろんな容器が置かれていて、礼拝堂の高い天上から落ちる雨漏りが打つ音だとわかったのは暫くしてからだった。それでも誰も居ず物音ひとつしない空間よりはましだった。靴を脱ぎ、御父母様に啓拝を捧げて頭を垂れた。祈ろうとしても何の言葉もでない。寂しいからでもない、申し訳のなさからでもない、何なのかわからない涙が嗚咽と共に流れるだけだった。正直、途方にくれていた。