2012年6月11日月曜日

花と蝶

ニューヨーク郊外の、とあるインターチェンジのカーブに差し掛かる時、目の中に飛び込んできた光景。無造作に広げた枝に緑をいっぱい装い、幹にも絡まる蔦の緑で覆われ、盛り上がった太い木の根の辺りも草木が伸び放題で、何かそこだけが別の空間のように映った。目視出来た木は一本だけだったと思うけれども定かではないが、それでも深い森のような佇まいだった。生い茂った葉に囲まれて守られるように黄色い花が咲き乱れていた。そして黄色い花は空間にも舞っていた。運転中のことで振り返って確認できる訳でもなく、脳裏に映った映像だけを思い起こすと、黄色い花々の上に黄色い蝶が舞っていることに気付いた。蝶は動く花、舞い上がる花として花の期待を担っているようだった。精一杯の美を装い、花として天に向かって咲くけれども、天を恋焦がれるだけで天に向かって飛んでいくことはできない。やるせない想いを一身に担って天に羽ばたくのが、花の救い主としての蝶だろう。花々は、蝶が舞うのを見て想いを託す。僅かの短い花の命を、精一杯の美を装うことに費やして、想いを蝶に託しながら枯れていく。その切なくも可憐な姿勢を、食口たちにも見ることができる。精一杯御父様を慕い、何とかしてお役に立ちたいと、寝食を忘れ装うことも忘れて精誠を注ぎ込んできた。御父様が前に立たれて、所狭しと押し込められた姉妹たちを眺められる。御父様の細い眼は更に細くなっていく。姉妹たちを切なくも可憐な野花のような存在として御覧になっている。花は花としての命を燃やし燃え尽きる。精一杯咲き誇れば想いは蝶に託される。花の想いは蝶のなかで生き続ける。私達は御父様の息子娘として、命を燃やし燃え尽きる。精一杯生き切れば想いは御父様に託される。私の想いは御父様のなかで生き続ける。そして、、、御父様の想いは私の中でも生き続ける。私の中で生き続けて私という花は蝶に変化する。黄色い花が黄色い蝶に変化したように、、、。