2010年1月15日金曜日

夢にうなされる

見覚えのある当時の暗い宿舎の中に、自分がいる。どういう訳か集まる兄弟姉妹達の顔がよく見えない。顔だけ消されているようでもある。それからどう話が展開したのか、修練会に参加することになって何処かとある雪深い寒村に辿り着く。その場で明日から万物復帰をするように私を含めた三人に伝えられ、道端の倉庫か何かの建物の影で待っている。一人に私が声をかける。今まで殆どの歩みを万物復帰に費やしてきて、もういいでしょう。そんな感じの言葉をかけると、私の先輩格に当たるその人は顔色を少し変えただけで何の返答も無い。彼が同調してくれることを私は期待していた。私の中ではもう絶対無理だと、金輪際万物復帰は無理だと結論を出していた。こんな寒村で逃げ出してもどうしようもないので、明日の朝、任地に下ろされたときに決行しようと決めていた。所持金を確認しながら鈍行で繋げば何とかなると踏んだ。向こうのほうから車がやってくる。二両繋がりの華々しい車だ。中はそれなりに快適な様子で、知らない間に移動車もこんなに様変わりしたのかと思った。懐かしい兄弟が数人降りてくる。又一緒に頑張ろうと声をかけてくれる。明日には逃げようとしているのに申し訳ないなと思った。言われるままに歩む純粋な性格の兄弟達と私の違いは何なんだろうか。とは言っても私も祝福を受けている。逃げ出したとしても祝福を受けた身に変わりは無い。そんな取り留めの無いことを考えていると娘のピアノの音が聞こえてきて目が覚めた。寝る前に風邪薬を飲んだせいかびっしょり汗をかいている。熱でうなされながら寝付くとも無く寝ると、決まってこんな夢を見る。決まって万物復帰にこれから出かける夢だ。そして逃げ出そうとする夢だ。上体を起こして下着を着替えた。今が現実なのか夢が現実なのか、そう思わざるを得ないほど夢は現実味を帯びている。当時の私の歩みの最大の汚点は御父様を慰めようと言う想いが一欠けらもなかったことだ。周りの体裁を気にし人並みの実績さえ出せばそれでよしと決めていた。ゴールを低いところに置けば自分自身も低くなる。逃げ出したい思いのみが最後に残り、どん底を魂は揺らいでいた。

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