2010年3月22日月曜日
今日の想い 156
時の経過はあまりにも早すぎる。考える間もなく子供は大きくなっているし、若くて元気な時の妻に触れた記憶も思い出せないほど、今目の前にしている色艶の無い白髪交じりの妻を目にする現実の方が大きい。妻に対する女性的なものへの期待や、身体を重ねたい想いだけに駆られて夫婦と言う時を過ごして来た訳ではない。が、細くなった身体を眺めながら寂しいと思う実感はどうしようもない。堕落的なものを超えて余りある本然の夫婦としての一体化を標榜しながら、堕落的で肉的な魂の在り様が、堕落的で肉的なものを相変わらず求めているだけなら、一つになって霊界で暮らせる夫婦とはなりえないはずだ。夫として妻に要求ばかりし続けて来た過去の事実がある故に、今の妻に対する寂しい思いがあるのだろう。病を煩い神経質な私に沿い続けながら年を重ね、年齢以上にやつれてしまった妻に対する責任は全面的に私にある。与える水を与えなかったから枯れたのであり、与える養分を持ち合わせなかったからあらゆる機能を低下させた。要するに妻に与える愛を私は持ち合わせなかった。私のせいではない何か他の足りないものがあると思っていたけれど、足りないものはやはり私の妻への愛だった。彼女に取って、私が気付くのが遅すぎたとしても、それでも夫である私を捨てることは無いだろう。この世であってもあの世であっても、必ずや私が彼女に与える真の愛を受け取れる日がいつか必ず来るはずと、信じて待って私をサポートしてくれている。たとえ堕ちるところまで堕ちたとしても、夫婦の凹凸は強く合わさって永遠に離れることは無い。共に地獄の火の海を掻い潜るとしても、一人離れて天国に昇ることなど有り得ない。二人両隣に居ないのであれば天国であっても天国ではない。私のせいで白くなった彼女の頭髪を、時間をかけて染めてあげる。やっと染め上がり黒々となった髪の毛を鏡に映し、満足そうに微笑んでいる。この些細な出来事を喜びとし、滅多にない微笑んでいる妻を鏡の中に見ながら、申し訳なさで目頭が熱くなる。
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