2011年1月26日水曜日

雪に想う

雪の冷たさの白が地上の全てを覆い、私の気分も冷たい白に包まれる。あれだけ暑くて溶けそうだった身体が、冬の今は熱を奪われて固くなっている。焼入れと冷却を繰り返すことで鉄の硬度が上がるように、活動的だった感情の熱を奪われることによって、外界から受け取ったものを内面の原則に加えていく。人は賛美されたり栄光を受ける体験だけに終始するなら、内面骨格のもろさを増していく。しっかり熱せられたそののち、その温度上昇分を凌ぐ冷却を施すように、否定もされ落ち込むことで初めて、受けた賛美と栄光が内面原則に加えられ内面は強化されていく。冬の間、活動的な夏への恋しい気分だけで過ごすのではなくて、雪の白の冷たさを施すことで新たな地上的創造サイクルの力を種子の中に宿していく、その自然の見えない知恵を私の中に受け取らなければならない。否定もされ落ち込むときに、冬の力として受け取れるものが、私の内面骨格を強度にしてくれる。私は痛みを甘受することで内面世界を天国にできる基礎工事を為している。自分の感情が始終求めている甘い気分には、それと相反する気分が必ず後先に付いてくることを知らなければならない。知恵ある者は、喜び楽しみを受け取るときに手放しで酔いしれることはない。下ることへの準備を備えながら賛美と栄光を謙虚に受け取るはずだ。夜半から降り始めた霙交じりの雪は、今朝にはワンインチ程には積もっただろうか。朝の暗いうちから出勤する人もいて、顔をあげて視線を周囲にやるでもなく、背中を丸めたまま水気の多い雪をフロントガラスから取り払っている。予報によれば、今日の夕刻には更に四、五インチももたらす雪雲が近付いているようだ。ワシントニアンは皆、雪にはうんざりしている。私の生まれ故郷も大雪のようだが、山々に囲まれ川も流れ、藁葺き屋根が点在する田舎の雪景色をこちらの知人にも見せてやりたい。色彩の美しさでは表現できないあの美しさを味わうなら、内面生活の深みは必ず増すはずだ。

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