2011年10月14日金曜日

世界経済について

1929年の秋、NY証券取引所で大暴落が起こり世界は恐慌へと突入した。紙幣は兌換(金に交換できる)だからこそ紙幣の価値があり価値の基準となるのであって、金の保有量を無視して好きなだけ政府が紙幣を刷ることなど考えもしなかったことだ。しかし膨張する経済にとって、この金本位制が足枷になる。金の保有量と紙幣をリンクさせる限られた資本だけではこの経済膨張に追いつかず、結果として流通は滞る。流通が滞れば仕事もなくなり失業率は天井知らずとなっていった。資本、労働、流通の循環が上手く回っていればこそ経済はなりたつし、経済循環が発展的スパイラルを描かなければ社会は経済の享受を得ることが出来ない。金本位制をやめて、円滑な循環を回らせ、経済成長のために国が自在に調整できるようにしたのが今のしくみだ。経済は昔も今も同じお金の遣り取りで表面的には変わっていないようでも、金がお金の背後価値だったものから国力がお金の背後価値、そして今は国を飛び越えて信用そのものがその背後価値となっている。ドルが基軸通貨になっているけれど実情は共通の通貨単位として用いられているに過ぎないのであって、アメリカがいくらでも輪転機を回せるアメリカのドルという意味合いは殆どなくなっている。国力が背後価値にあった当時はアメリカが自在に調整できたけれども、今はアメリカがドルの通貨量を増やせば途端にドルは売られて、血管に整理食塩水を大量に流し込むようにドル安が顕著になる。信用が膨らみすぎて、一国のGDPを遥かに超える通貨の流れが地球の表面を席巻している状況では、国の調整は不可能と言っていいだろう。FXに手を付けた者ならわかるが、個人ですら証拠金の25倍以上の為替の先物取引ができる世の中だ。巨大ファンドの先物取引で膨らみすぎてしまった信用をコントロールすることは不可能で、この地球をスッポリ包んでいる信用バブルがいつ破裂するのか戦々恐々としている状況だ。ギリシャや南欧の国々の破綻が心配されているけれど、その国やユーロ圏に留められて終息することなどありえない。地球規模のバブルが弾けることは既に確定されている。しかしそれでこそ新生経済が始動すると見てはいるが、リーマンショックが軽いジョブだったと思えるほどノックアウト級の打撃を遠からず迎えることになる。

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