2011年10月7日金曜日

双十節


先日、同僚に誘われて双十節の記念パーティーに行ってきた。中華民国の建国記念で、旧駐米大使公邸のツインオークエステートという、中華民国にとっては歴史的建物の敷地内で、十数名の下院議員や駐米華僑三千人余りが招待されて行われた。双十節は武昌(現湖北省にある)区域で辛亥革命の発端である兵士の反乱が起こった日、その日1911年10月10日を建国の日として記念しており、今回で建国百年を迎える。敷地は広いが建物自体はそれほど大きなものではないので、ケータリング業者に大きなテントを敷地内に張らせて、立食形式で行われた。昨年はホテルのボールルームで行われ、大使館関係の日本人も数人は見受けられたが、今回は日本人には一人も出会わなかった。中国への政治的配慮もあってのことなのだろうか、歴史的にも民間レベルに於いても日本との深い関わりがある台湾なのに残念な気持ちがした。飲み食いで終わるのかと思ったがテント内のステージに照明が照らされ、二十代全般の女性十数人が中国の古典楽器だと思われる弦楽器や吹奏楽器をそれぞれに抱えて登場すると、誰の合図ともなくテンポのいい楽曲の出だしを見事に合わせて演奏し始め、パーティー会場は一気に活気付いた。後で聞くと、中華民国の親善大使として世界を演奏して周り、結構有名なようだった。演奏に歌を入れてみたり舞踊を入れてみたりしながらの三、四十分の演奏を、駐米代表の挨拶や元副国務長官の祝辞を挟んで二回ほど行われた。挨拶や祝辞は短いもので、指して記すに値する程のことはないのだが、色を添える為の彼女達の演奏からは、中華旋律の独特な調べに華僑達や台湾人の歴史的感情が流れてきて、彼らの想いが胸に伝わってきた。台湾は親日の人達が多い。アメリカに移住している華僑の人達の多くは、本人が日本で学んでいたり、親や親戚が日本に住んでいたりと、何らかの形で日本と深い縁を持っている。マネージャーとして長く働いている台湾人の同僚も父親は日本人だったし、日本人の私の指示に対しては全面的に応えようとする。信頼を置いている彼らの想いを、日本の国としても日本人としても、決して軽く受け取るべきではないだろう。

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