2007年2月22日木曜日

メニューについて考える

メニューが多いほど顧客満足度を高めることが出来る、と考えるのは顧客の心理がわからない者の発想である。うちのフロアマネージャーも今でこそ私の考えることが理解できるようだが、しばらく前まで (今日も客がフライドライスはないのかと聞いてきたからフライドライスをメニューに入れるべきだ。)(日本人がくると必ずラーメンがあるか聞いてくる。ラーメンをメニューに入れよう。)事在る事にこんな感じだ。入ってきた客をひとりたりとも逃したくない、という気持ちはわからないではないがあれもこれもという下心は客には見え見えなのである。何でもありの店は山ほどある。たいていのチャイニーズ、韓国レストランは寿司バーを導入している。良くその手の店に行って見るが寿司バーが満席なのを見たためしがない。それどころか入っている寿司職人はたいてい手持ち無沙汰である。何でもありの店は客にとって何の思い入れもない特徴のない店、魅力のない店と映る。現実問題としてメニュー量を増やせば増えた分だけ集中力も分散される。日本でこのラーメン一本に賭けているという大将の思い入れの強い店がメニューが三品限りというのと同じで少ないほどいい。飲食店は掃いて捨てるほどあるのだから専門性がなくコンセプトを伝えられない店は生き残れない。コンセプトをメニューで表現しようとすればラインを広げずアイテムを深くする方向性に持っていくべきである。ラインとは例えば日本食でいうとすし、照り焼き、てんぷら、なべもの、麺といった区分けであり、アイテムの深さとなると寿司でいうと握りであるとかチラシであるとか巻きであるとかさらにいろんな巻きを追及していくとかということになる。うちの店にはラインとして寿司もあれば照り焼きもありさらにてんぷらすき焼きまである。はっきりいって多すぎる。ラインの幅が広いとそれに応じて従業員も増やす必要がある。20年以上もこのラインで営業していると変えることは出来ない。さらに多数客の日本レストランの位置づけが寿司、てんぷら、照り焼きなので、もし寿司だけに絞るとなると多数客の認識からずれてしまい寿司だけの店という新しいマーケットの開拓となる。日本と違いそこまでマーケットが成長しているとは思わない。とにかく周りに影響されて安易に増やしたり減らしたりするのではなく、メニューひとつひとつに思い入れが感じられるような内容にすべきだ。同じものでも器の選び方、盛り付け方、提供の仕方などによって全く違う印象を客は受ける。客の前に提供されたとき感動を覚えるか(愛を感じるか)、最初に口にしたとき客はうなづくか(愛を感じるか)、それがメニュー作成のあるべき姿勢だ。

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