2010年7月22日木曜日

入道雲

胸をそり、空を見上げれば、入道雲が目に入る。見渡すと東の空に連なって、どこまでも天を目指し膨らみを押し広げている。立体感を備えた三つの巨大な入道雲が青い空を占領している。暫くみていると、刻々とその姿形を変容させながら、三つの巨大なとぐろを巻いた白い龍が、それぞれの威容を競い合っているようにも見える。頂上付近の発生したばかりの雲の膨らみは、密度の濃い白光りを放ち、鋭い大きな龍の目さながらだ。その眼光でお互いを牽制しているようにも見えるし、地に対して睨みを効かせているようにも見える。天に龍が棲み、地には堕ちた蛇が棲む。地に堕ちた蛇はこの世の神として崇められながら、我が物顔で地上を支配してきたサタンだ。偽りの愛で偽りの血統を数限りなく枝分かれさせながら、サタンの僕、悪魔の子孫が地に満ちる。今の今まで天に棲む龍が地に下ることは無かった。龍として思いつくのは、御父様の幼名に龍の文字が入っていることだ。御父様の地上への出生は、天に棲む龍が地に下ることを意味している。地に下って、この世の神、暴れ回る地に堕ちた蛇を退治される。万王の王として宣布され君臨されることは、この世の神が御父様の前にひれ伏したと言うことだ。最後の時を目前にありとあらゆる発悪がなされ、地上の存在誰しもがその影響を受けずに居られることはない。あらゆる誘惑に曝され、あらゆる感情を噴出させながら、自分がどちらに組するかを明確に迫られる。天の龍を仰ぎ見ながら、私は龍の子、御父様の子であると、入道雲に向かって断言する。龍はその証しを見せろと私に迫る。白光りを放つ巨大な眼球で私の本質を射抜きながら、嘘偽りを隠すならそのこめかみまで裂け切った口の餌食にしようと構えている。最後の時に私を裁くのはサタンではなく、神の使いが直接私に対面して私を裁くのだ。いつの間にか三つの巨大な入道雲は、青い空をたなびく穏やかな雲となってそれぞれの区別すら付かなくなってしまった。

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